従来、BDNFは、定期的な運動やゲームなど頭を適度に使うと増加することが知られていたが、チョコレートの摂取でも増加することが分かった。
BDNFは認知機能に関与する。「BDNFが増えると認知機能が改善するので、認知症の予防にチョコレートが役立つ可能性があると期待できる」(大澤教授)と話している。
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■産学官連携し健康効果を明らかに
□愛知学院大学教授・大澤俊彦氏
私は、ポリフェノールについて、ゴマ、ブルーベリーなどさまざまな食品で研究してきた。愛知県蒲郡市、明治、愛知学院大学という産学官が連携して、日本でカカオポリフェノールの健康効果について大規模な臨床研究を行ったことで、血圧低下や善玉コレステロール値の上昇という動脈硬化予防に役立つことが分かった。さらに、記憶力向上や認知機能改善に関係するBDNF(脳由来神経栄養因子)を増加させて、脳内機能の改善にもカカオポリフェノールが良い影響を与えている可能性があることが分かった。こうした産学官が協力して研究に取り組み、身近な食品の健康効果を明らかにしていくことは、地域社会だけではなく、国民全体の健康を増進するうえで非常に意義があると考えている。
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