溶けた鉄を鋳型に流し込む楠原製作所の従業員。電気料金の上昇は、経営を圧迫している=3日午後、福岡県須恵町【拡大】
鋳造業は金属を溶かすのに大量の電気を使うため、電気料金の値上げは痛い。
九電が企業向け料金を平均11.94%値上げしたのは2013年4月。楠原製作所の14年の電気料金は3776万円となり、震災前の10年の3164万円から19%値上がりした。電力使用量の伸び率5%を大きく上回っている。
楠原社長は「電力使用を抑える努力をかなりした」と語る。12年末には数百万円をかけて、造型工程へ空気を送るコンプレッサー2機を省エネ型に買い替えた。生産ペースに応じて送風量を自動制御でき、電力使用量を大きく抑えられる。
「それでもギリギリの黒字。原油価格高騰が電気料金に反映されるのも痛い。うちの製品の値上げを取引先にさらにお願いしなければならない」。楠原社長はこう言って顔をしかめた。
電気料金の値上げは、九州の産業界全体に悪影響を与えている。帝国データバンク福岡支店情報部の三好暁久氏は「製造業や小売業、冷蔵冷凍設備が必要な食品関連などの業績への影響が大きい」と話す。今年2月には、新幹線の部品などを鋳造していた佐賀県唐津市の相葉合金所が自己破産を申し立てた。