カローラ開発秘話、「打倒サニー」へ渾身のエンジン変更、33年国内首位の怪物生む (2/6ページ)

2015.8.20 01:12

カローラ1号車のラインオフ式=昭和41年(トヨタ自動車提供)

カローラ1号車のラインオフ式=昭和41年(トヨタ自動車提供)【拡大】

  • 第13回東京モーターショーに出展された初代「カローラ」=昭和41年(トヨタ自動車提供)
  • 初代「カローラ」の運転席。ハイウェー時代の到来をにらみ、高速運転で機敏な変速できる運転席脇のフロアシフトが採用された=愛知県長久手市のトヨタ博物館

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 排気量を増やす場合、エンジンの設計変更だけでなく、トランスミッションの強度確認など、さまざまな部分で修正が必要だ。性能や安全性を確かめる試作車も作らなくてはならない。8カ月という短い期間での設計変更は容易ではない。

 新たに設計した1100ccの新型エンジンはそれまでの「27E」に「Z」を加え、「27E-Z」と呼ばれた。

 《皇国ノ興廃コノ一戦ニアリ、各員一層奮励努力セヨ》

 このZは、日本の連合艦隊がロシアのバルチック艦隊を破った日本海海戦で、東郷平八郎司令長官の乗る旗艦・三笠に掲げられたZ旗の意味を込めたものだ。

 新たにZのゴム印が作られ、エンジンの設計変更にかかわる書類には赤いZ印が押された。まるで「水戸黄門の印籠」(佐々木)のように、最優先の案件として処理されたという。

 試作車は約3カ月後の6月に完成する。佐々木は「社内はもとより、部品を作るデンソーやアイシン精機も協力してくれた証拠。全社があの車に運命を賭けてくれた」と断言する。

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 41年11月、初代カローラは「プラス100ccの余裕」をキャッチフレーズに発売された。価格は49万5千円(カローラデラックス)。大卒の初任給は2万5千円程度だったが、カローラは大ヒットし、日本中にマイカーブームを巻き起こした。

実は…カローラは企画段階から恵まれたクルマではなかった

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