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排気量を増やす場合、エンジンの設計変更だけでなく、トランスミッションの強度確認など、さまざまな部分で修正が必要だ。性能や安全性を確かめる試作車も作らなくてはならない。8カ月という短い期間での設計変更は容易ではない。
新たに設計した1100ccの新型エンジンはそれまでの「27E」に「Z」を加え、「27E-Z」と呼ばれた。
《皇国ノ興廃コノ一戦ニアリ、各員一層奮励努力セヨ》
このZは、日本の連合艦隊がロシアのバルチック艦隊を破った日本海海戦で、東郷平八郎司令長官の乗る旗艦・三笠に掲げられたZ旗の意味を込めたものだ。
新たにZのゴム印が作られ、エンジンの設計変更にかかわる書類には赤いZ印が押された。まるで「水戸黄門の印籠」(佐々木)のように、最優先の案件として処理されたという。
試作車は約3カ月後の6月に完成する。佐々木は「社内はもとより、部品を作るデンソーやアイシン精機も協力してくれた証拠。全社があの車に運命を賭けてくれた」と断言する。
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41年11月、初代カローラは「プラス100ccの余裕」をキャッチフレーズに発売された。価格は49万5千円(カローラデラックス)。大卒の初任給は2万5千円程度だったが、カローラは大ヒットし、日本中にマイカーブームを巻き起こした。