カローラ開発秘話、「打倒サニー」へ渾身のエンジン変更、33年国内首位の怪物生む (3/6ページ)

2015.8.20 01:12

カローラ1号車のラインオフ式=昭和41年(トヨタ自動車提供)

カローラ1号車のラインオフ式=昭和41年(トヨタ自動車提供)【拡大】

  • 第13回東京モーターショーに出展された初代「カローラ」=昭和41年(トヨタ自動車提供)
  • 初代「カローラ」の運転席。ハイウェー時代の到来をにらみ、高速運転で機敏な変速できる運転席脇のフロアシフトが採用された=愛知県長久手市のトヨタ博物館

 高度経済成長の真っただ中、日本列島は猛スピードで道路整備が進んだ。38年7月、日本初の高速道路として名神高速道路・栗東-尼崎間が完成し、40年に全線開通。44年には東名高速道路が開通した。35年に14万台だった乗用車の販売台数は、10年後の45年に237万台まで急増し、自動車大国の礎を築いた。

 トヨタ在籍時に5代目カローラのデザインに関わったトヨタ博物館前館長の杉浦孝彦(64)は「量販車の中核を占めたカローラは初代から会社の屋台骨を支えた」と指摘した。

 ただ、カローラは企画段階から恵まれたクルマではなかった。あまたの障害を乗り越える原動力となったのは、開発者らの強い思いだった。

 昭和29年12月から48年11月までの約19年間、日本は年平均10%以上の経済成長を続け、戦後の焼け野原から奇跡的な復興をなしとげた。日本の産業界が輝いた高度経済成長の軌跡をふりかえる。

 「モータリゼーションはすぐ向こうに見えています」

 昭和39年ごろ、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)技術管理部の長谷川龍雄(故人)は熱弁を振るった。相手は「販売の神様」と呼ばれたトヨタ自動車販売の神谷正太郎社長(故人)だ。

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