日本では新国立競技場の基本設計を担当した日建設計が東京スカイツリー(施工期間08~12年)をBIMを使って設計した。5年ほど前からようやく普及が始まった新しい技術だ。
最近は建築でも曲線を多用した奇抜なデザインが増えているが、建築設計の三次元化と無関係ではない。ザハ氏も早くから三次元ソフトを使って曲線を多用したユニークな建築をデザインして有名になり、最初の頃は実際には建てられないようなデザインで「アンビルトの女王」との異名を取ったほどだ。
ここ10年ほどザハ氏のデザインが実際に建設され始めた背景には、BIMの登場が寄与している。新国立競技場の設計でもザハ氏が三次元デザインソフトで描いたスケッチを、日建設計を中心とする設計JVがBIMを使って再現して実際の設計図を作成し、コンピューター上で施工シミュレーションを行い、効率的な工事が行われるはずだった。
冒頭の大手ゼネコン役員が懸念していたようにBIMは設計者が先行して活用し始めたが、3年前はまだ施工技術が追い付いていない状況だった。