企業CSRとフェアトレードの取り組み インド綿農家の生活向上を支援 (3/4ページ)

2015.8.28 05:00

綿花畑が広がるジャムニヤ村の試験農場。フェアトレードとともに無農薬栽培を農民たちに教えている

綿花畑が広がるジャムニヤ村の試験農場。フェアトレードとともに無農薬栽培を農民たちに教えている【拡大】

  • マルコスエクスポート社の縫製工場ではフェアトレード、オーガニック、一般生地が厳格に分けられ製品化されていた
  • 前田京子さん
  • 国際フェアトレード認証ラベル

 ジャムニヤ村の学校には小学校から高校まで400人の生徒が学ぶ。M・Jトーマス校長は「フェアトレードが、この子たちに教育の機会を与えた」と強調する。この学校がなければ、大半の子供は教育を受けることがなかったのだろう。

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 ■サプライチェーンすべてにメリットある仕組み

 ニューデリー郊外にあるマルコス エクスポート社は、入江氏からの要請を受けフェアトレード認証を取得した縫製メーカー。従業員は150人、月10万点の衣料雑貨を生産する。営業担当役員のマンディーブ・スィン氏は「教育支援などCSR活動は力を入れてきたので、フェアトレードは違和感がなかった。各工程で他の製品と交わらないよう区分けし、機械設備も新設した」と設備投資も行ったと説明する。

 認証を取得する企業は、当然のことながら法を厳粛に守る。これは従業員への待遇などにも反映し、働きやすい環境を整えている。フェアトレードの取り組みはサプライチェーンすべてにメリットがあることがわかる。その分、消費者は少しだけ割高に見えるかもしれないが、商品対価が有益に使われることを考慮すれば納得できるはず。

 取材した、すべての人が異口同音に言うのは「フェアトレードはチャリティーではない」ということだった。働いた正当な対価が支払われることを重視した取り組みだからだ。資金援助ではなく製品を購入することで成り立つ支援。これが途上国で教育を受けられる子供たちを増やし、農家の生活を成り立たせる。日本でフェアトレードを浸透させる意義は大きい。企業は、この取り組みをCSR活動の一環に組み込むべきだろう。(海部隆太郎)

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