東芝本社=東京都港区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】
このため隠然たる存在として経営に介入する相談役も出てくるわけだ。しかし視点を変えると、現役の経営陣がひ弱すぎるという問題も浮かび上がる。
高度経済成長期に業界再編成などで黒子役として活躍した日本興業銀行(現みずほ銀行)の中山素平頭取(故人)は、爽やかな引き際が語り草になっている。代表権を持たずに会長になり、それも2年で相談役、特別顧問に退いた。勲章を求めず、晩年は国際大学の理事長を務めた。
しかし1991年、興銀が大阪の料亭の女将(おかみ)による架空預金事件で巨額の焦げ付きをこしらえて、経営トップの責任問題が起きたときである。特別顧問にすぎなかった中山氏が人事をさばいた。相談に来た頭取に「君まで辞めたら、興銀が大混乱になる」と留任させた。代わりに会長と取締役相談役の辞任によって、事態を取りあえず収拾した。