3メガ銀行労組のベア要求見送り方針を批判する連合の神津里季生会長=3月3日午後、東京都千代田区の連合会館(平尾孝撮影)【拡大】
平成28年春闘で、トヨタ自動車がベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分について、月2千円以上の回答を行う見通しとなったことが3日、分かった。政府は好業績の企業に賃上げを呼びかけており、製造業を代表するトヨタとしても「経済の好循環」に貢献する。前年の4千円は下回るが、2千円以上のベアは3年連続。一部にベア要求を見送る動きがある中、相場のリード役のトヨタがベアに踏み切ることで、他の自動車、電機大手などの交渉にも影響を与えそうだ。
労働組合側は月3千円を要求していた。経営側は満額回答を視野に入れるが、「高すぎる」(幹部)との意見も根強く、どこまで隔たりが埋まるかが焦点だ。
トヨタは28年3月期決算で営業利益が過去最高の2兆8千億円に達する見込み。米国の販売増や円安効果で好調が続いている。
一方で、ベアは固定費の増加につながり、コスト競争力を弱める。経営側には「トヨタの賃金は他社と比べて高い」との声もある。