産別労使交渉が行われ、労使双方の代表がテーブルについた。有野正治・電機連合委員長(左から3人目)=12日午前、東京都港区(荻窪佳撮影)【拡大】
日立製作所やパナソニックなど電機大手の平成28年春闘交渉は12日、経営側と各労働組合でつくる電機連合が最終交渉を行い、賃金水準を引き上げるベースアップ(ベア)について月額1500円で事実上、決着した。前年の水準から半減する。電機連合は週明け14日の会議で、ストライキを実施する目安となるベアの最低回答額として決定する予定。16日には各社の経営側が一時金(ボーナス)などとともに一斉に正式回答する。
電機業界をめぐっては、中国景気の減速などで事業の先行きの不透明感が強まっているほか、企業間の業績格差が鮮明になっている。不正会計が発覚した東芝や経営再建中のシャープの各労組は今春闘で、組合合の要求や経営側からの回答額をそろえる「統一闘争」から離脱した。
経営側は、3年連続のベア実施に対して慎重な姿勢で交渉に臨んだ。
電機連合は月額3千円を要求。ベアの判断基準の一つである物価上昇が抑えられていることなどから苦戦を強いられたが、春闘相場をリードするトヨタ自動車の交渉が2千円を軸に本格化。経営側が譲歩し、要求の半額で決着することとなった。
電機連合の有野正治中央執行委員長は交渉後、記者団に対し「労組には社会的責任があり、最終方針を伝えきって(経営者側に)英断を求めた」と述べた。
経営者側を代表して取材に応じた日立の中畑英信執行役常務はベアについて「デフレ脱却のため、日本経済の好循環に貢献することが重要だ」と語った。