そして、その“カフェ文化”は他国と大きく異なっており、いわゆる日本で言うところの喫茶店のようなコーヒーを楽しむ店舗(前述したようにイタリアではバールと呼ぶのですが)の89%はスタバのようなチェーン店ではなく、街のおしゃれなカフェに代表される個人経営の独立店なのです。
イタリアでは多くの人に行きつけのバールがあり、そこに行けば、いちいち注文しなくても店主が顧客の好みを覚えてくれているといいます。実際、バールのカウンターに立ち、顧客のの注文を受けてエスプレッソなどを淹れる職業「バリスタ」の平均年齢は48歳。熟練の技と年期がモノを言うお仕事で、バイト感覚ではこなせません。
そんなコーヒー好き&コーヒーの味にこだわり抜くイタリア人ですが、昨今の景気低迷の影響でしょうか。米農務省(USDA)の2011年の調査によると、自宅以外でコーヒーを楽しむ人は97年には全体の30・3%いましたが、2011年には23・4%に減っていました。つまり、約75%がバールではなく自宅でコーヒーを楽しんでいたのです。
さらに、英調査会社ユーガヴ・ブランドインデックスの調査では、英米では知名度の高いスタバも、イタリアを含む他の欧州各国では知名度が非常に低いことが分かっています。