一方で、東電は黒字の継続によって、原発事故で5%台に落ち込んだ自己資本比率を4~12月期に17.5%まで回復させた。持ち株会社体制への移行は、2020年に送配電部門の別会社化が義務付けられる「発送電分離」を先取りするもの。発送電分離は国の電力システム改革の一環で、実質国有化されている東電が他の電力より先に取り組まざるを得ない側面があったとはいえ、分社を機に事業の効率化を一段と進め、収益力の向上を賠償などの原資にも充てられるようになれば、16年度中を目指す6年ぶりの社債発行への道が開く。
社債による自力での資金調達は自主経営を取り戻す大きな一歩になる。1兆円を出資して東電を実質国有化した政府の原子力損害賠償・廃炉等支援機構が来年3月末に行う経営評価にも影響を及ぼす。
再建が軌道に乗っていると判断すれば、現在50%超の議決権比率の引き下げや国から派遣中の職員の引き揚げなどが決まる可能性もある。持ち株会社への移行による収益力強化の取り組みは脱国有化の行方を左右する試金石となる。(佐藤克史)