熊本県は13日、熊本地震発生後の県内宿泊施設の予約キャンセル数が11日時点で約33万泊に上ったと発表した。九州7県の経済団体などでつくる九州観光推進機構によると、宿泊キャンセルは、被害が大きい熊本市や阿蘇地方を除いても地震発生後20日間で70万件を超え、影響額は140億円に上るとみられる。
同機構などは「夏休みまで続けば倒産する事業者が出る」(石原進会長)と危機感を強めている。韓国や中国からの距離が近い九州は訪日客拡大に向けた強い原動力でもあり、政府は観光キャンペーンの展開などで復興の後押しを急ぐ。
宿泊施設28軒が並ぶ熊本県北部の黒川温泉(南小国町)は被害がほぼなかった。だが、ふもと旅館の女将(おかみ)、松崎久美子さんは「街はがらがら。特に韓国、中国のお客はぱったり姿を消した」とため息をつく。
韓国・釜山と福岡を結ぶ高速船は、大型連休中の乗客数が6割落ち込んだ。利用減をうけ、チャイナエアラインは熊本-台湾・高雄間の週3便を今月末まで運休すると決定。韓国の格安航空会社ティーウェイ航空もソウル-大分線(週4便)を5月いっぱい運休する。
長崎では5、6月の修学旅行が約8割キャンセルされた。砂風呂で知られる鹿児島県の指宿温泉(指宿市)も「大型連休中の稼働率がわずか4割」(有村青子・指宿シーサイドホテル常務)と苦戦した。「九州の“へそ”である熊本と大分の被災は大きな打撃」という。
影響が九州全域に及んでいる背景には「九州観光は1カ所だけでなく、複数地域を周遊する客が多い」(小野泰輔・熊本県副知事)という事情がある。
石原会長や7県の副知事らは11日に菅義偉官房長官と面会、熊本城をはじめとする観光資源の再建や中小事業者の経営支援、風評被害対策などを要望した。
政府は13日、観光立国推進閣僚会議を持ち回りで開き、九州への旅行をアジア諸国などにPRするキャンペーンの展開を、改定した観光立国行動計画に盛り込んだ。