2016年3月期決算会見で、業績を説明するKDDI田中孝司社長=12日、東京都千代田区【拡大】
ソフトバンクグループなど携帯電話大手3社の2016年3月期連結決算が12日、出そろった。全社が増収、本業のもうけを示す営業利益ベースで増益を確保した。
ただ、スマートフォンの「実質0円」での販売禁止や仮想移動体通信事業者(MVNO)による格安スマホの拡大などにより、国内通信事業の成長は鈍化が必至。海外事業や非通信分野など、新しい収益源の育成の成否が、今後の競争の行方を分けそうだ。
3社の業績を牽引(けんいん)したのは、国内通信事業だ。NTTドコモは、他社に流出した携帯電話契約数が、前の期の約38万件から約10万件に改善。KDDIも、タブレット端末などスマホ以外の新規契約を増やしたことで通信料や端末販売による収入が膨らみ、個人顧客向けの通信事業の営業利益は2割増となった。
しかし、政府の携帯料金値下げ要請に応じて各社は新料金プランを発表しており、端末の販売に波及しそうだ。KDDIの田中孝司社長は12日の決算会見で、「17年3月期は若干の影響だが、あまり売れなくなるだろう」と弱気な見通しを示した。ドコモは17年3月期に700億円の減収効果を見込んでいる。