バレないと踏んでいたのだろう。だが、次世代モデルの開発を日産が行うことになって雲行きが変わった。日産が現行モデルの性能を確認するため社内でテストを行ったところ、実験結果のつじつまが合わず、三菱自動車に問い合わせを入れた。三菱が社内調査を行った結果、不正が発覚し今日に至っている。
疑問な点はまだいくつかある
すでに、自動車産業全体を揺るがす大事件へと発展したわけだが、今回三菱自動車が行った不正そのものについて、筆者はまだ大きな疑問を持っている。三菱によれば、日産から届け出燃費と実測値の間に5~10%の差異があったと指摘を受けたと言っている。不正操作が行われた「走行抵抗」とは、空気抵抗と転がり抵抗の合計だ。低燃費技術の半分はこの走行抵抗との戦いである。これまで長い時間をかけて改善に次ぐ改善が行われてきた成熟技術であり、いまさら半減させるような余地はない。そんな不自然な減らし方をすれば一目でばれてしまうし、ばれない程度に押さえて加工した程度では、5~10%という燃費改善は達成できない。
件の数値が特定の過渡的状況のみでの乖離だと言うなら別だが、テストモード全てを通しての結果だというなら、不正はこれ以外にもあると考えなければ辻褄が合わない。