btrax(ビートラックス)創業者のブランドン・ヒル氏【拡大】
--漫画ですか。それはなぜ
「漫画本を開くと、細かくてごちゃごちゃしていてコマ割も複雑ですから、慣れていない人にとっては分かりにくいかもしれません。しかし、多くの日本人は漫画を読んで育っているので、そのレイアウトになじみがあり、頭に入ってくるんです」
--なるほど。考えてみると現代的な漫画が流行する前、戦前のグラフィックデザインや広告はよりシンプルで、欧米の感覚に近かったですね
「はい。情報の密度が高いデザインは比較的新しいですね。視覚的な違いよりも強調すべき違いは、日米でのデザインの捉えられ方の違いだと思います。特に米国では、デザインはビジネス全体を通じて核となるプロセスと考えられ、デザイナーは、顧客がソフトウエアやパッケージを見てどう反応するかという点に非常に気を遣います。デザイナーは、プログラマーや製品開発チームと初期段階から密に連携して、ユーザーとも直接関わります。デザインには人の心理を読み取る力が欠かせません。ところが、日本ではデザインが外注されることが多く、デザイナーが製品の背景を十分に持っていなかったり、サービスのユーザーと直接やり取りして反応を知ることができなかったりします。そうなると、デザイナーにできるのは見た目をきれいにすることだけになりますが、それはデザインの構成要素の一つに過ぎません」