三菱ケミカルHDと旭化成が4月から一体運営するエチレン設備=岡山県倉敷市【拡大】
生き残りへ集中投資
こうした中で、重要性を増してきたのが機能商品事業だ。
「シェールガスと汎用品で戦っていては生き残れない。機能商品を育てないと」。東ソーの山本社長は、自らに言い聞かせるように話す。同社が機能商品として思い描くのは、排ガス触媒素材の「ハイシリカゼオライト」や、歯科材料などに使う「ジルコニア」だ。
新中期計画では、東ソー以外にも旭化成が電池材料のセパレーター、住友化学が飼料原料のメチオニンや有機エレクトロルミネッセンス(EL)向け部材といった具合に、それぞれが需要拡大の見込める得意商品に経営資源を重点投入する。環境・エネルギーや医薬品を含むヘルスケア、電子材料などの分野を中心に動きが活発化しそうだ。
投資積み増しの動きも目立つ。三菱ケミカルHDは20年度までの5カ年計画で総額1兆円の設備投資を盛り込んだほか、5000億円のM&A(企業の合併・買収)を含む戦略投資枠を設定。その前の5カ年計画に比べて2600億円多く、多くを炭素繊維や高機能フィルムといった収益性の高い商品に充てる方針だ。三井化学は現行中期計画について、24日に3年間合計の成長投資を230億円増やす方針を明らかにしたほか、需要が逼迫(ひっぱく)し、4月に名古屋工場の増強を決めた紙おむつ用不織布について、追加増強を視野に入れる。