「月額980円」読み放題Kindle 出版社の福音となるか? (2/8ページ)

 Kindle Unlimitedも従来のKindle本同様に、専用のKindle端末だけでなく、iPhoneやiPad、Android端末や、パソコンに無料アプリをインストールして読むことができる。

 「月額980円で本が読み放題」という、読書家にとってはパラダイスにも思えるKindle Unlimitedだが、現状のラインナップを見る限りでは、まだまだ発展途上といった印象はぬぐえない。実際に利用してみると、新刊を見つけ出すのは難しい。出版社としても、刊行から一定期間を経たタイトルを登録し、まずは様子見……というところであろう。

 Kindle Unlimitedで出版社の収益は拡大するか?

 これまでも電子版コミックや雑誌の読み放題サービスは存在したが、単行本も含めた総合的な読み放題サービスを、Amazonのようなメジャーな、しかも日本の電子出版流通において大きな力を保持するプラットフォームが開始したのは大きな変化といえる。一方、これまで電子書籍で一定の収益を上げていた出版社や著者からすると、今回の読み放題が自分たちの今後にどのような影響をもたらすのか、期待と不安が入り交じった心境ではないだろうか。

 音楽制作業を営み、iTunes Storeなどの音楽配信サービスに楽曲を提供して一定の収益を上げている筆者は、昨年の今頃、Apple Musicなど定額制聴き放題サービスの開始を受けて、未知なるビジネスモデルに対峙する必要に迫られ同様の心境でいた。あれから1年。定額制聴き放題が収益にもたらす傾向が見え始めたので、その経験を踏まえて、Kindle Unlimitedが出版社などの権利者の収益にあたえる影響を予測してみたい。

結論から言おう。マクロな視点で見た場合、多くの電子書籍タイトルを…