「月額980円」読み放題Kindle 出版社の福音となるか? (5/8ページ)

 音楽の場合は、定額制ストリーミングが始まった後も、所有感を求めて“ダウンロードで買い直す”ユーザーが一定数存在するので、カニバリズム状態にならないのかもしれない。一方で、所有感に乏しいKindle本の場合は、どのみち電子書籍を「所有」できないのであれば、「Kindle UnlimitedがあればKindle本は不要」と乗り換える人が増え、カニバリズムが起きるとすれば、音楽の定額制聴き放題とは違うシナリオもありうるからだ。

 総ページの10%が読まれると、Kindle本と同じだけの売り上げ?

 さて、Kindle Unlimitedによって出版社はどの程度の増収が見込めるのだろうか。Amazonと各出版社の契約は相対なので、両者の力関係により条件が一定ではない。ある大手の版元担当者は、「全ページ数の10%が読まれたら、『1コンテンツが読まれた』とカウントされ、購読数ベースで通常の電子書籍が売れたのと同じようにロイヤリティーが支払われる契約」と明かす。そして1コンテンツあたりの分配率は定価の「5掛け」だという。

 なるほど、ページの10%が読まれた(=表示された)時点で従来のKindle本と同じだけの売り上げが見込めるということなら、出版社からすると美味しい話に思える。ただし、同担当者は「この契約は今年12月までの『期間限定特別条件』なので、それ以後は締め付けがはかられる可能性がある」(同担当者)と心配する。

Amazonからすると、サービス開始時に出版社に有利な条件を提示し…