Amazonからすると、サービス開始時に出版社に有利な条件を提示し、優良コンテンツを集めるという戦略であろう。おまけに、この原稿を執筆している時点では、従来のKindle本とKindle Unlimitedのランキングが同列に扱われており、上位をKindle Unlimited書籍が埋め尽くす状況にある。「Kindle Unlimitedに参加しないとランキングには入れませんよ」というAmazonから出版社に対する無言の圧力のようにも受け取れる措置だ。
ちなみに、今回担当者に話を聞いた出版社の場合は、「5掛け」の分配率で契約しているようだが、この掛け率は、前述のように出版社とAmazonの力関係により左右するものと思われる。つまり、優良コンテンツを多数抱えている出版社の場合は、もっと良い条件で契約している可能性もあるということだ。
電子書籍の収益は変動相場になる!?
Kindle Unlimitedにより増収が見込めるとはいっても、大手出版社の事業規模からすると、当面、象にハエが留まった程度の影響でしかないかもしれない。ただ、これをきっかけとして電子書籍のさらなる普及が進めば、その状況にも変化が訪れるのではないだろうか。
ただし、来年以降のロイヤリティーの分配方法によっては、楽観はできない。前述のように今年の12月までは、10パーセントのページが読まれた電子書籍については、Kindle本が売れたのと同じように購読数単位でロイヤリティーが支払われる契約がなされているようだが、Amazonサイドがこの契約をそのまま続行するとは思えないからだ。