たとえば、音楽の定額制聴き放題サービスであるApple Musicの場合、総収入からプラットフォームの手数料を引いた金額を全再生回数で割り、それぞれの楽曲の再生回数(20秒の再生で1カウント)に従って権利者に案分する方式が採用されている。この方法が最も合理的で、すべてのステイクホルダーが納得する分配方式であろう。他の、音楽サービスも概ね似たような分配ルールだ。
しかしこの方法だと、全ユーザーの総再生回数に応じて、1再生あたりの単価が変動する。実際に、弊社が提供する楽曲の場合も、再生単価は約0.5~1.4円の間と、実に3倍近い振幅で変動しており、たとえ再生数が変わらなくても、毎月の収益に凹凸ができてしまうのは避けられない。コンテンツ企業の経営者としては、外的要因に左右され数字が読めない状況に大いなる戸惑いを覚えることは確かだ。
実は、Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)経由で登録するKindle Unlimited本には、「読まれたページ数」をカウントすることでロイヤリティを分配する、音楽と似たような方式が取り入れられている。Kindle Unlimitedが先行して始まった米国では、ページ単価約0.004ドル(約0.43円)程度で分配されており、この数字は、音楽同様ユーザーの利用率等で変動する。