「月額980円」読み放題Kindle 出版社の福音となるか? (3/8ページ)

 筆者の会社における、iTunes StoreとApple Musicの売上推移(2015年7月~2016年2月)。ダウンロード販売の実績(iTunes Store、緑)に大きな落ち込みは見られないが、ストーミング再生の売上(Apple Music、青)が確実に伸びており、増収傾向にあることが分かる。

 結論から言おう。マクロな視点で見た場合、多くの電子書籍タイトルを抱える出版社は、Kindle Unlimitedへの参加により、収益が拡大する可能性がある。現時点ではこの結論に明確な根拠があるわけではないが、音楽の定額制における弊社の楽曲の再生回数の傾向を見ていると、ロングテールの尻尾の部分に埋もれ、従来のダウンロードでは見向きもされなかった楽曲が少ないながらも再生され、収益源になり始めている。

 弊社の場合、合計で2000曲弱しか配信していないのだが、たったそれだけでも今年に入ってからのストリーミングの再生回数は上昇傾向にある。大手で、数十万曲、数百万曲を提供しているレーベルであれば、トータルの再生回数は、かなりの数字になっているはずだ。

 このようにロングテールの尻尾からも収益が得られるようになったことに加え、もう1つ注目したい動きがある。音楽の場合、ストリーミング再生が増加した分、従来型のダウンロード販売が大きく減少したかと言えば、それはなく、横ばいでほぼ変わらなかった。つまり、定額制ストリーミングの収益が上積みされたというわけだ。

筆者は、定額制ストリーミングサービスが始まった当初…