
情報セキュリティー会社の人材育成セミナー=7月、東京都千代田区【拡大】
負のイメージを払拭しようと、富士通は社内でハッキング技術を競う大会を開いて表彰し、技術者同士が交流できる仕組みを設ける改革に乗り出した。奥原雅之サイバーディフェンスセンター長は「会社はセキュリティーの技術者を大切にするんだというメッセージを伝え、スターを生み出したい」と話す。
経済産業省が6月に公表した推計によると、情報セキュリティー人材は20年に約19万3000人不足する。市場拡大を見越し育成の重要性を訴える内容だが、業界では「人手不足とはいえ、この数字は過大」との声もあり、「技術者の質が問題であり、単純に数を増やせばいいわけではない」と数字ありきの議論に疑問を投げ掛ける人もいる。
セキュリティー対策の機械化や自動化も今後の検討課題だ。「足りない人数を育成して補うのではなく、人が必要とされる状況を減らす工夫が大切だ」と、情報セキュリティー会社FFRI(東京)の鵜飼裕司社長は新技術の研究開発への投資を求めている。