一般社員に実施してきた2%の給与カットについても、メッセージの中で減額の見合い分を手当として支給することを表明。管理職も成果次第で支給されることになった。戴社長は6月に、国内外の従業員約4万3千人のうち7千人規模の削減も示唆していたが、22日に堺市の本社に詰めかけた報道陣に対し、「できれば今の社員は全員残ってほしい」とトーンダウン。人員の適正化は基本的には配置転換で対応する考えも示した。
こうした一連の“アメ”は、これ以上の人材流出を防ぐ狙いもありそうだ。経営危機を受け、シャープからは日本電産やパナソニックなど、電機各社への移籍が相次いだ。取締役経験者ら幹部級も多く流出している。あるシャープの男性社員は「パナソニックでは元シャープ社員のグループができているそうです。僕は乗り遅れたんですけどね」と寂しそうに明かす。再建に向けて、まずは疲弊した社員の待遇を改善する姿勢を示した格好だ。
コストカッター
経営戦略の内容では「IoT(モノのインターネット化)の推進」「分社化経営の徹底」などがうたわれているが、これらはすでに昨年10月に当時の高橋興三社長が打ち出していたものだ。