戴社長が鴻海グループのナンバー2として、郭台銘会長(英語名=テリー・ゴウ)の信頼が厚いのは、人員整理など困難な仕事をこなしてきたからだ。「コストカッター」の異名を持ち、今年6月にシャープの株主総会会場のオリックス劇場(大阪市西区)を訪れた際、「なんで、こんなに大きなところでやっているんだ!」と声を荒げたという。戴社長の檄が飛ぶ場面が増えるたび、“鴻海色”が濃くなっていきそうだ。
鴻海がシャープに飲まれる?
注目されるのは、A4用紙で4枚にもなる戴社長のメッセージ全文がメディアに開示されたことだ。高橋前社長の時代にも、社員向けにメッセージは出されていたが基本的には非開示だった。もちろん、メディアに公開されることもなかった。さらに業績の悪化とともに、閉鎖の度合いは増していったのである。
しかし戴社長が就任した8月13日、シャープは公式ホームページ上で「22日に役職員に対して自らの方針を表明する予定です」と明らかにし、今回の開示につながった。メディア向けには簡易な抜粋版も用意されていたが、最終的に全文を出した。シャープ中堅社員の1人は「私たちの常識では外部に出したり、告知することはない。国が違うのでそうした感覚も違うのだろう」と驚く。