【日本発!起業家の挑戦】コミュニケーション・ロボットの未来 (5/6ページ)

2016.10.4 05:00

ユカイ工学の青木俊介氏
ユカイ工学の青木俊介氏【拡大】

 ◆ソフトウエア重視へ

 --伝統的には日本はロボット工学に強い国でしたが、最近米企業が市場をリードするようになっています。日本はこれに競合し、世界のリーダーであり続けられますか

 「これを口に出すのは悲しいですが、日本のロボット工学の未来には懐疑的です。日本はこれまでもハードウエアづくりには優れていましたが、ロボット工学においてこれからの革命はソフトウエア、特にAIと自然言語の処理によって起こると考えられるからです。その分野を独占しているのが米国です」

 --ユカイ工学ではPepper専用の「マホウノツエ」を開発しましたが、今本当の魔法の杖(つえ)があなたの手にあれば、日本の競争力を高めるために何を変えたいと思いますか

 「日本は莫大(ばくだい)な防衛予算を持っています。政府はその予算のいくらかをスタートアップに投資することに充てて、スタートアップが政府のために新しい技術を生み出せるようにすべきだと思います」

 --DARPA(米国防高等研究計画局)の日本版ですか。もともとシリコンバレーは米国の防衛関連の研究開発予算で生まれたようなものですからね

 「日本政府が抱える小さな特定の問題を解決する手段を広く募れば、日本のロボット工学業界はまったく変わると思います。今でこそ掃除機ロボットのルンバで知られるiRobot(アイロボット)は、軍事用の地雷除去や偵察用ロボットを米国政府のために開発して10年ほどたって、ようやく商用として成り立つ製品をリリースできるようになりました。DARPA日本版があれば、革新的な企業が技術を高めて一般の人に役立つ製品を開発できるまで存続することができます。そうなれば、日本にもロボットの世界でリーダーとして返り咲くチャンスが生まれると思います」

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