
パナソニックが平成26年に東京都内で開いた、4K動画対応ミラーレス一眼カメラの発表記者会見【拡大】
パイオニアに
しかし一瞬の映像を切り取る写真は勝手が違った。光のまばゆさや影とのコントラストなどをデジタルでいかに「表現」するか。
「現場は常に殺気立ち、開発部門は不眠不休で絵づくりに没頭していた」。当時、開発に携わっていたパナソニックの山根洋介・イメージングネットワーク事業部長は振り返る。大阪・門真にあった開発部門のフロアは、午前0時を過ぎても、明かりが消えない日が続いた。
中村氏の大号令から約1年後の平成13年11月。光を表す「LUMI」とデジタル技術を「MIX」(融合する)という意味を込めた初号機が国内外で発売された。だが「ブランド名が市場に浸透せず、もくろみより売れなかった」(山根氏)。
それでも次々と新技術搭載した新機種を発表し、突き進んだ。
15年11月に投入した機種では、手ぶれによる映像の乱れを軽減させる機能を薄型のデジカメで初めて採用する。シャッタースピードが遅くなる暗い場所でも高画質な写真が撮れるとあって人気を集め、ソニーなどが追随。ルミックスは「草分け的存在」として注目され始めた。
20年10月には、「ミラーレス一眼カメラ」を開発した。高画質なレンズ交換式カメラの代表格である一眼レフから反射鏡(ミラー)などを省くことで、小型軽量化を実現。デジカメの一大ジャンルに成長した。