イワタニのカセットコンロが今も売れ続ける理由 “かゆいところに手が届く”モノづくりの軌跡 (7/7ページ)

2017.5.7 13:10

岩谷産業が1969年に発売した業界初のカセットコンロ「カセットフー」(写真提供:岩谷産業)
岩谷産業が1969年に発売した業界初のカセットコンロ「カセットフー」(写真提供:岩谷産業)【拡大】

  • 岩谷産業 総合エネルギー事業本部 カートリッジガス本部 CS推進部の福士拡憲担当部長
  • 最新カセットコンロ「カセットフー 達人スリムII」は従来商品よりもさらに薄型化した
  • 岩谷産業の商品ラインアップは幅広い

 鉄板の表面温度を通常のものよりも下げる一方で、鉄板の回りに水を入れた溝を設け、焼肉の油がスムーズに流れるようにデザインを改良した。これは逆転の発想で、今までなら火力を強め、どんどん鉄板温度を上げていったのだが、あえて温度を下げる方法を取った。ただし、あまり下げてしまうと今度は肉が焼けないので、最適な温度を繰り返し実験したという。「豚トロを何枚食べたか分からない」と同商品の開発に携わった福士氏は振り返り笑う。

 なぜ岩谷産業はここまでユーザーのニーズを細部にわたるまで汲み取り、商品開発につなげられるのか。その秘けつは、コンタクトセンターと商品開発部門が同じセクションにあり、顧客の声がすぐさま商品開発担当者に伝わる仕組みがあるからだ。消費者との距離が近く、現場感を持って商品開発できるのも岩谷産業の強みである。

 カセットコンロ業界の先頭をひた走る岩谷産業。今後も「こんなアイテムがほしかった!」と消費者を唸らせるようなアイデアを期待したい。

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