今回のキャンペーンは5月末で終了したが、Anycaに登録すれば、1日1万円前後で個人所有のクルマを借りることが可能だ。サイトを覗くと「一生に一度は乗ってみたい車」というコーナーがあり、アウディA8などの超高級車も登録されている。いまや2000万円以上の外車がカーシェアリングで1日1万円で乗れる時代なのだ。
ただ、斎藤社長は「日本で具体的なビジネスにするには課題が多い」という。海外に目を向けると、アウディの各国法人はシェアリング事業に積極的に乗り出している。ドイツでは空港など公共の場所をステーションに、アジアでも香港では2000戸を超える集合住居でサービスを提供している。
東京大学大学院工学研究科の元橋一之教授は、「日本とカーシェアリング先進国である欧米では、メーカーのシェアリングに対する考え方が全く違う」という。「自動車産業にも所有から使用への流れが来ています。カーシェアリングは消費者が自動車を所有しなくなるということ。自動車メーカーにとって短期的に利益にはなりません。しかし、海外大手はその波を先に捉え、先行者利益を得ようとしています。たとえば、独メルセデスは“CASE”という戦略をとっています。CASEはコネクティビティ(接続性)、オートノマス(自動運転)、シェア(共有)、エレクトリック(電気)の頭文字。全資源をこの4つに当てはめてクルマづくりしているのです」。