日産の整備士学校がレースに参戦する理由 優秀な人材確保へ学生を“英才教育” (2/3ページ)

 学生がレースに参加する意義

 実際に現地で見学したが、10班に分かれた学生たちは複数の任務をローテーションで回し、各々が与えられた持ち場でリーダーの指示に耳を傾けながら緊張の面持ちで作業に当たっていた。彼らの役回りはタイヤの着脱や清掃、食事や給油の準備など意外にも幅広い。半数以上が経験の浅い1年生ということもあり、ときに手際の悪さや判断に迷っている様子も見て取れたが、表情はみな真剣そのもの。同じことを何度も言われないように引継ぎメモを作るなど、それぞれが自主的に工夫して動いているという。レースの“最前線”であるピットやスタート前のグリッドに立つ緊張感と、目の前に構えるグランドスタンドから観客の視線を浴びながら作業に取り組む臨場感は、学生たちにとってとにかく非日常的な体験だ。

レース前に真剣な表情で指示を聞く日産・自動車大学校の学生たち

レース前に真剣な表情で指示を聞く日産・自動車大学校の学生たち

 こうしたレース活動の目的は『真のクルマ好き人財』と『プロ意識を醸成し、自動車業界で活躍できる人財』の育成だ。レース前に学生の激励に訪れた日産自動車の中村公泰副社長は、「緊張感の高いプロの中で一翼を担うことが学生にとって貴重な体験。ここで学んだ人たちは、販売会社に入ると『現場での働き方が違う、目の色が違う、性格が違う』と聞いている」と学生がレースに参加する意義を語る。近藤監督も「よそのチームから『学生たちの目つきが変わってきた。ただお手伝いしているだけじゃないね』と評価されることは本当にありがたい。でも、僕たちから『しっかりしなさい』とは言っていない。彼らが自分の立場を自覚したということ」と学生の成長に目を細める。

 新卒が取れず、争奪戦に

 実は、日産・自動車大学校がレース活動に取り組む背景には、整備士不足の顕在化という深刻な問題もある。現在、日本には約33万人の整備士がいるそうだが、国交省の資料によると約5割の事業場で整備士が不足しており、整備士を目指す若者はここ10年間で半減しているという。整備士の平均年齢は40歳を超えており、約2割が55歳以上と高齢化も進んでいる。これは小規模の整備会社に限った話ではなく、日産のような大手メーカー系も直面している問題だ。

 日産・自動車大学校は卒業生の9割が日産系企業に就職する。優秀なスタッフを輩出して日産の販売ネットワークを支えるという重要な役割を担っているが、最近は学生を集めるのに四苦八苦している。同校の今西朗夫学長は「毎年、定員まで取れることは滅多にないのが現状。若者が自動車に興味を示さず、どの学校も苦戦している」と頭を抱える。日産の販売店でも新卒を取るのに相当苦労している。「日産の求人数に対して当校から4割、残りの6割は一般校から入る」というが、外車ディーラーも含めて一般校の学生は争奪戦になるという。一人でも多くの優秀な学生に来てもらうためには、「日産・自動車大学校が外から見て魅力的に映ることが大事」(中村副社長)。そのためにモータースポーツを活用して学校の魅力をアピールし、チームプレーを通して「日産DNA」を体得させているのだ。

中村副社長に届いた一通の手紙

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