『コロコロ』は40年も経つのに、なぜいまも売れ続けているのか。また雑誌を卒業するとき、子どもたちは何を考えているのか。この2つの謎を解くために、和田編集長に話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
「うんこ・ちんちん原理主義」は永遠
土肥: 『コロコロ』の読者ターゲットは、小学4~6年生の男子なんですよね。この層は150万人ほどいるのに対し、雑誌の発行部数は80万部。つまり、2人に1人は読んでいる計算になるのですが、どういったところにチカラを入れているのでしょうか?
和田: 小学4~6年生の男の子は、女の子と比べて成長が遅いですよね。女の子は恋愛やオシャレなどに興味があるのに、男の子は漫画に「うんこ」や「ちんちん」が登場すると、ものすごく喜ぶ。時代が変わってもこうした傾向は同じで、編集部ではこのことを「うんこ・ちんちん原理主義」と呼んでいます。
土肥: どこかの雑誌は「努力、友情、勝利」をテーマに掲げていますが、『コロコロ』は「うんこ、ちんちん」なわけですね。編集部員に「男の子はうんこが好きだから、ぶりぶり登場させろ!」といった話をしているのですか?
和田: いえ、そういう指示はしていません。指示をしなくても、うんことちんちんはたくさん登場するんです。「今月はちょっと、うんことちんちんが多過ぎるのでは」と思うことも。「このうんことあのうんこはかぶっていないかな」と思うことも。このように感じるほど、作家さんと編集部の間で、うんことちんちんは自然なネタなんですよね。
土肥: 個人的な話をすると、ワタシは「うんこ」派でして。小学6年生のとき、女の子からノートを渡されて「卒業の記念に、何か書いて」と言われたんです。そして、ノートに大量の「うんこ」を書いたところ、めちゃめちゃ怒られました。こちらは「何も悪いことをしていない」と思っていて、むしろ「おもしろいでしょ、このうんこ」といった感じでサービス精神たっぷりだったわけですよ。
……や、話がそれました。漫画にうんこやちんちんがたくさん登場するわけですが、なぜ小学生の男の子はこの2つが好きなのでしょうか?