土肥: ある日、突然『コロコロ』を読むのが恥ずかしく感じるのでしょうか?
和田: ですね。ほとんどの男の子が離れます。そして中学生や高校生になると、『コロコロ』は最も遠い存在になるのではないでしょうか。ちなみに、私も離れていました。当時、どんな漫画が連載していたのか、全く記憶にありません。
土肥: 別れるときには「スパッ」と離れていくわけですね。でも、編集部としてはできるだけ長く読んでいただきたいですよね。「恋愛なんてしちゃダメ」と思わないですか?
和田: できるだけ長く読んでいただきたい気持ちはあります。ただ、『コロコロ』は読者と一緒に成長してはいけないんですよ。
土肥: 成長してはいけない? どういう意味でしょうか?
和田: 『コロコロ』の読者は、うんちが好き、ちんちんが好き、ゲームが好き、オモチャが好きなのですが、人間は必ず成長します。成長して次の段階に入れば、『コロコロ』を卒業して、違う雑誌を読んでいただきたい。
土肥: おお、懐が深い。
和田: いえ、そうではありません。成長した読者にしがみついてしまうと、下の世代が興味をもちそうな漫画を掲載できなくなるんですよね。そうすると、新しい読者を増やすことができなくなる。
うんこ・ちんちんのシャワーを浴びせる
土肥: 他の雑誌編集者は「読者が高齢化して困っているんだよねえ」と嘆いていました。その雑誌、かつては「転職」「給与」「リーダー」といったテーマの話が多かったのですが、最近は「定年後」「年金」「健康」といった内容ばかりで。
和田: 読者の平均年齢が上がらないように、私たちはあえて卒業生を追いかけません。男の子にはどんどん恋愛をしてもらいたいし、音楽を好きになってもらいたいし、オシャレに興味をもってもらいたい。そして、私たちはどうするのか。新入生に、うんこ・ちんちんのシャワーを浴びせます。そうすれば、必ず新しい読者が増えると信じています。
土肥: シャワーを浴びれば、開放的な気分になれそうですね。本日はありがとうございました。