
心の問題について革新的なアプローチで取り組む清水あやこ氏【拡大】
「確かにその通りです。私たちはSPARXを自己啓発ツールと位置づけて市場に出していますが、他の自己啓発ツールとはかなり異なるものです。目指しているのは、鬱症状や不安に悩んでいるけれど、通常の対面カウンセリングを受けるのに抵抗がある人たちにSPARXを届けることです」
--人口構成で言えば特にターゲットとして検討している層はありますか
「誰にでも使っていただきたいですが、今までのところ、ほとんどのユーザーが30代から50代の男性です。当然といえば当然のことです。このセグメントは、鬱病を抱える人の率が高いですし、スマートフォンの普及率も高いです。日本では鬱病になるのは男性よりも女性の方がずっと多いのに、自殺率は男性の方が約2倍なんですよ。興味深い数字だと思います」
--なぜでしょう。症状に違いがあるのですか
「そういうわけではありません。女性の方が男性に比べて助けを求めることが多いのでしょう。女性の方が友達に相談したり、また臨床心理士などの専門家に助けを求めたりすることが一般的です。男性は親友にすら本当の気持ちをあまり明かしません」
--それは万国共通かもしれませんね。男性の方がこういうゲームにひかれる理由は分かります。国内の心の病の専門家たちはSPARXにどんな反応を見せていますか
「残念ながら、とても保守的なコミュニティーなんです。たくさんの精神科医や心理士が国外での研究データを見て、個人的な関心や支持を示してくれますが、表向きは対面の伝統的なカウンセリングから離れることに対して強い抵抗があります。私たちがビデオチャットシステムを使って提供しているオンライン・カウンセリングサービスのココロワークスにさえ、懐疑的な人が多いです」