
心の問題について革新的なアプローチで取り組む清水あやこ氏【拡大】
--ヒカリラボのサービスは低価格のアプローチで実際に効果があるという研究データもあります。どうして抵抗が大きいのでしょう
「日本でのメンタルヘルス(心の健康)の捉えられ方は、アメリカをはじめとする諸外国とは大きく異なります。例えば、国民健康保険が適用される治療法は限定されていますし、精神科に通うなど、専門家を頼ることについて社会的に負のイメージがつきまといます。通院を隠したいと思う人も多いです。ですから、精神科医が新しい治療法を試すのがとても難しいんです。鬱症状があると自覚していても治療せず放置する人が75%にのぼっています。そのうち治ると思って問題を長く放置していると、キャリアや家族の生活も脅かされます。この状況をヒカリラボで変えたいと思っています。匿名で、安く、初期の段階でサービスを利用してもらい、多くの人が簡単に専門家の手を借りられるようにしたいです」
AIとチャット目標
--AI(人工知能)に基づくカウンセリングのチャットボットも開発しているとか
「まだ完成までには時間がかかりますが、友達やかわいいキャラクターと話す感覚で、ユーザーがAIとチャットできるようにするのが目標です。認知行動療法をもっとカジュアルな会話形式で取り入れられないかと考えています」
--チャットボットのビジネスモデルは? SPARXと同じ問題にいずれ直面するのでは
「社員の健康増進プログラムに採用することに関心を示す大企業が数社あります。人事部はたいてい、全従業員の数%が鬱症状に悩まされていること、そしてこうした従業員の処理能力が低下しており、その結果、全社の能率にも影響していることを知っています」