
タウンWiFiを運営する荻田剛大氏【拡大】
--携帯電話会社がデータ通信の料金プランを工夫して改善していくことにより、公衆WiFiの人気は衰えると思いますか
「重要な指摘ですが、私はそうは思いません。データ通信プランがよくなったとしても、動画のダウンロードによるデータの増量、インターネットの利用が加速するスピードの方が速いです。容量がいくら大きくなっても、私たちはもっと欲しくなる。ですから、無料の公衆WiFiにはこの先も出番があります。私たちのアプリは単にWiFiの接続を自動化するサービスではなく、テレコムサービスです。ユーザーの約1割は、携帯電話の事業者と契約せず、WiFi接続だけに頼っています。1割はかなり大きい数字です。特に、ベトナム、インドネシア、マレーシアといった東南アジア諸国ではそういう使い方をする人がどんどん増えています」
--海外展開について聞きます。韓国、米国、台湾といった市場を最初に対応する地域に選んだのはなぜですか
「国際的にも、口コミでサービスの利用が増えていくことを期待しているので、日本からの観光客が多く、また訪日観光客も多い国に注力したいと考えたからです。すでに国内でサービスを利用している人が海外旅行に出かけたときに現地の公衆WiFiに接続できると便利です。また、訪日外国人が日本でタウンWiFiを使い、帰国後も利用できることに気付くと口コミが広がる可能性が高いと考えました。条件に合う国からサービス展開を始めたんです」
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タウンWiFiが、少ない従業員とマーケティング予算で、大企業のサービスに劣らぬダウンロード数を達成していると聞き、うれしくなった。こうした成功ストーリーは、大企業とスタートアップが等しく市場のシェアをめぐって競える状況が日本に生まれつつあることを示す。また、ユーザーがブランドの名前ではなく、ユーザーエクスペリエンスの良いものを選んでいることの証しでもある。国内のスタートアップ界にとって、期待の膨らむ材料だ。
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文:ティム・ロメロ
訳:堀まどか
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【プロフィル】ティム・ロメロ
米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/