
新棟を建設中の東芝メモリ四日市工場=三重県四日市市(万福博之撮影)【拡大】
売却の当初の目的だった上場を維持するための2期連続の債務超過の回避は、大型増資によって既に実現できる手はずが整っている。それだけに、東芝に契約を解除できる権利が発生する4月以降のタイミングで、株主になった他の海外ファンドが追随しないともかぎらない。そうなれば、売却撤回を求める動きが勢いづくのは必至だ。
「大多数の株主がそう主張すれば、無視はできなくなる」(東芝関係者)
綱川智社長は2月の時点で「売却方針に変更はない」としていた。ただ、今や利益の9割を稼ぐ東芝メモリを手放すことの是非について社内が一枚岩ではなくなっているのも事実だ。東芝メモリは32年にもIPOを予定しており、「100%子会社のまま上場させた方が、客観的にみて効率は圧倒的に良い」と東芝幹部も本音を漏らす。
とはいえ、東芝はそんなちゃぶ台返しが難しい事情も抱えている。取引銀行が債務超過の東芝に融資枠を設けたのは、東芝メモリの売却益が得られることを前提にしてきた経緯があり、「撤回なら借りたカネを返すのが筋で、相応の理由を説明してもらわなければならない」と牽制する。
多数の関係者が参加し、数カ月かけてようやくまとまり、株主総会で承認を得た契約を「そう簡単に一方的に変えるわけにはいかない」(関係者)。