
新棟を建設中の東芝メモリ四日市工場=三重県四日市市(万福博之撮影)【拡大】
東芝は増資で債務超過を回避できるが、1兆円超の売却益を得なければ、財務基盤には不安が残り、今後の成長戦略の足かせになりかねない。また、半導体メモリーで競争力を保つには年3千億円規模の設備投資が必要とされるが、今の東芝の体力では捻出するのは難しい。
多くのステークホルダーの思惑が交錯し、再び混迷の度合いが強まってきた東芝メモリの売却劇。
「車谷さんに相談することになる」。東芝関係者は4月1日付で会長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、実質的な経営トップとなる元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭氏に決断が委ねられるとの見方を示す。
折しも、東芝は今春に新たな中期経営計画を公表する予定だ。車谷氏の課題は収益の柱となる事業が見当たらない東芝の再成長に向けた青写真をどう描くかであり、東芝メモリの売却は今後の戦略を大きく左右する。
売却益を攻めのM&A(企業の合併・買収)などに回し、社会インフラ事業の稼ぐ力を高めるか。それとも、売却を撤回して新たな事業構成を探るのか-。
いずれにしても、ステークホルダーが納得できる姿を示すことが不可欠だ。車谷氏は就任早々、その経営手腕が問われることになる。(万福博之)