その後、食品流通課から転送されたメールの画像を手がかりに、担当の和歌山県産業技術政策課は、文字の出所を調べ始めた。一見、何かの商品ロゴのようにも見えた「紀州」の文字。職員がわずかな手がかりから和歌山県内の商工会議所などに「紀州の名前が入った団体はありませんか?」などと問い合わせたところ、2週間ほどで、“正体”を突き止めた。
「紀州」の文字は、和歌山県北部の橋本市にある約45人の製竿師(せいかんし)でつくる「紀州製竿組合」が作ったパンフレットのタイトル文字に酷似していた。明治時代から続く伝統工芸品として知られる竹製の「紀州へら竿」が、問題に巻き込まれていたことが確認された瞬間だった。
紀州だけの問題ではない
「まずいなぁ…。和歌山県庁の人から話を聞いたとき、そう感じました」
壁には材料の竹、畳には作製中の竿が並べられている。橋本市内の工房の中で紀州製竿組合の田中和仁組合長(44)は静かに振り返った。