田中組合長によると、紀州へら竿の顧客は関西よりもヘラブナ釣り文化が盛んとされる関東地方や中部地方などに多い。中国との取引は「微々たるもの」だという。田中組合長は「愛好家にとって紀州へら竿は『あこがれの的』ということを中国側は知っていた。その点を狙われたんだと思います」と説明する。
今回の問題について、田中組合長は危惧していることがある。
「商標出願されたのは『紀州』という地名部分の文字だけだが、よく考えるとへら竿だけじゃなく、カーボン製の竿など色々な竿にこの商標が使われるのではないか」
商標出願した会社が釣り具を扱っているとみられるだけに可能性のある話だ。釣り竿はもちろん針をはじめ、釣りに関するさまざまな品物まで問題は波及するかもしれない…。
「そうなると、決して紀州へら竿だけの問題ではなくなると思う」
田中組合長は語気を強める。
待つだけではだめだ
中国や台湾での商標検索や法的対応措置に関するマニュアルを作るなど、一連の問題対策に取り組む特許庁国際課によると、中国での商標出願をめぐる問題は以前から起きている。