【電力危機は続く】司法判断が国を滅ぼすのか? 専門家も「これは判決ではない」 川内原発への影響懸念 (3/4ページ)

2014.5.23 10:18

 裁判長の樋口氏は、農業や漁業はエネルギーを使わないとでも思っているのだろうか。野菜栽培には電気による照明や、重油を使った暖房が欠かせない。鶏や牛、豚の畜舎に扇風機やクーラーを備えるのは常識だ。出来上がった食料を我々が口にするまでには、さらに多くのエネルギーが使用される。

 豊かな日本を支えるインフラの一つが、電力なのは間違いない。資源に乏しい国でいかに低廉で安定した電力を供給するか。その一つの解が原発だった。

 年間3・8兆円という燃料費流出は、原発停止による国力低下の一例に過ぎない。原発停止は電力インフラを破壊し、社会を揺るがし、豊かな国土は摩耗してしまう。

 また、判決は福島第1事故を「わが国始まって以来の公害、環境汚染」と断罪した。震災から3年が経過しても13万人が故郷に戻れない原発事故の重大さは言うまでもない。避難生活に疲れ、自ら命を絶った人もいる。

 だが、福島第1原発事故の放射性物質による汚染は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故に比べ、極めて狭い範囲であり、死に至るような健康被害は生じていないのも事実だ。

 福井地裁の判決にあるのは、医学的根拠がないまま「被曝によって鼻血が出た」とした漫画「美味しんぼ」と同じように、放射線を闇雲に怖がる精神構造といえる。

 現実には放射線よりはるかに大きなリスクがある。

 世界保健機関(WHO)は3月、大気汚染のため2012年に世界で推計約700万人が死亡したとの調査結果をまとめ、「大気汚染は環境要因で最大の健康リスクだ」と警告した。

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