【九州の礎を築いた群像】西部ガス編(4)味のマルタイ 「プライドは捨てろ! お客さま価値を高めよ」 ラーメン三昧 見せたガス屋の意地  (3/5ページ)

2014.6.24 22:09

「棒ラーメン」を中心としたマルタイの商品群

「棒ラーメン」を中心としたマルタイの商品群【拡大】

  • 徹底的に効率を追及したマルタイの新工場=福岡市西区
  • 酒見俊夫氏

   × × ×

 「これは前に商品化したスープと変わらんのじゃないのか?」

 社長就任から半年後、試作ラーメンを一口すすった酒見は、開発部門の社員にこう迫った。

 その通りだった。パッケージこそ変えていたが、スープの味はほとんど変えていなかったのだ。開発部門の社員は青い顔をして押し黙った。

 「なるほど、これがマルタイの体質なのか…」

 酒見は合点がいった。確かにマルタイの商品の完成度は高い。だが、その「老舗のプライド」が、新たな味への挑戦を阻んでいた。

 営業部門や企画部門が「トマト味皿うどん」や「鶏の水炊き風白湯ラーメン」などを提案しても、開発部門は「5年前に一度やって売れませんでした」「他社のコピーのような商品はやりたくありません」などと反発した。

 酒見は社員たちをこう諭した。

 「消費者の嗜好(しこう)は半年どころか1カ月でも変わるんだよ。5年前と今は求められる商品は違う。もっと柔軟に考えましょう」

 こうしたやり取りを繰り返すうちに、社内にあった「ガス屋にラーメンの味が分かるのか?」という空気は次第に消えていった。

 酒見は商品開発にも積極的に口を出した。

 山登りが趣味の酒見は、登山家に棒ラーメンが愛好されていることを知っていた。他のインスタントラーメンに比べてかさばらず、さっぱりと飽きの来ない味だからだ。

 「登山者専用の棒ラーメンがあってもいいじゃないか」。こう言って酒見は、2食入りを増量した1食に変え、体力消耗を防ぐようにスープにビタミンやシジミ成分のオルニチンを配合した。パッケージは手袋をしたままでも開けやすいように工夫し、ゴミを増やさぬようスープとかやくは一包にまとめた。

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