健康被害を起こす「受動喫煙」をなくそうと昨年4月、神奈川県に続き、全国2番目に受動喫煙防止条例を施行した兵庫県で、建物内禁煙を義務付けられた県内8税務署が庁舎外に喫煙所を新設したことが波紋を広げている。条例違反ではないが、たばこの健康被害を訴える医師らは「職員の健康を守るためにも喫煙所は作らないでほしい」と批判している。(加納裕子)
8カ所で850万円
平日の午前9時半頃、兵庫県芦屋市の芦屋税務署。庁舎裏口から若い男性職員が現れ、広さ約5平方メートルのプレハブに入っていった。昨年設置された喫煙所だ。近畿2府4県の税務署を所管する大阪国税局の広報担当者は「本庁舎内に喫煙所があったが、兵庫県の条例で庁舎内での喫煙が禁止になった。職場環境を整えるため、外に付け替えなければならなかった」。
大阪国税局によると、条例施行に合わせ、こうした喫煙施設を新設したのは芦屋や灘、洲本など8カ所。計約850万円を投じて完成させた。ある職員は「税務署職員が外でたばこを吸っているところが見えたら納税者から苦情が来る」と打ち明ける。