【未来への羅針盤】中央大学寄附講座 (2/8ページ)

2014.8.30 05:00

「事業の価値は売り上げではなく、ユーザーが本当に喜んでくれるかどうかにある」と語る吉田社長

「事業の価値は売り上げではなく、ユーザーが本当に喜んでくれるかどうかにある」と語る吉田社長【拡大】

  • 酒井正三郎・中央大学商学部教授
  • 高橋豊治・中央大学商学部教授

 両社ともインターネット×(掛ける)個人によって新しい価値を生み出していますが、21世紀は個人にフォーカスしたサービスが面白く、それがインフラにもなるということです。皆さんも、このような大きな変化を把握して、就職や起業を考えてください。

 これはシェアリングエコノミーというトレンドで、当社が取り組むのもその一環です。デザインとかデータ入力などのスキルを持つ個人の空き時間と、仕事を依頼したい企業などとをマッチングさせる事業で、「子供が寝ている2時間、働きたい」ということが可能です。サービス開始2年半で、クライアントは企業や官公庁など3万5000を突破しています。「大企業が個人の力を活用する」時代になったということです。

 この変化の本質には「価格の源泉が製造原価ではなくなった」ことがあります。アマゾンが電子書籍を全部9.99ドルにしたのに続いて、本も音楽も映像も定額制で提供されるようになっています。ものをつくる側ではなく、ユーザーにダイレクトにつながっているほうに価格決定権が移っているということです。

 また大塚食品がボンカレーをリニューアルし、「10万円とボンカレー1年分」でキャッチコピーを募集したところ、1週間で4900案、集まりました。つくる過程に参加するとワクワクし共感が生まれる。「共感が価格の源泉になる時代」だという認識も重要です。われわれは、この人々の共感をカタチにしていきたい。貨幣経済から共感経済への移行に貢献し、個人のスキルを評価する仕組みをつくりたいと思っています。

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