ネコの旅路と進化、感染ウイルス目印に追跡 品種の起源探る手掛かりに (2/3ページ)

2015.3.18 06:30

 DNAを解析

 ネコの進化系統はゲノム(全遺伝情報)解析で近年、急速に研究が進んできた。リビアヤマネコが祖先と分かったのも、母方から遺伝する細胞内小器官、ミトコンドリアのDNA解析による。また、アビシニアンという品種の発祥はエジプトなどと推測されていたが、東南アジアとの説が浮上している。

 京大ウイルス研究所の宮沢孝幸准教授(進化ウイルス学)らは、大昔にネコに感染してゲノムに入り込み、子孫に受け継がれたレトロウイルスが追跡の新たな手掛かりになるとの論文をまとめた。

 宮沢准教授らは約20品種でDNA配列を比較。20万年前以降に感染したとみられるレトロウイルスに関連する配列を調べた結果、起源とされる地域によって保有率に差があることを突き止めた。

 調査した141匹のうち、欧米の品種は40~56%がこのウイルスを持っていたが、アジアの品種はほとんど持っておらず、日本にいる雑種を含めて3・8%だった。中東で家畜化されたネコのうち、欧米に向かったネコだけがこのウイルスに感染し、アジアに向かったネコは感染しなかった可能性がある。

 ウイルスの配列がDNAに入り込む場所は不規則だ。しかし欧州のネコの一部と、北米の品種であるアメリカン・ショートヘアとアメリカン・カールは、いずれも同じ染色体上にウイルスが組み込まれていた。

アメリカン・ショートヘアは、17世紀に大西洋を渡り…

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