川畑教授によると、覚醒剤は体内に取り込むと、脳内のドーパミン神経細胞に作用し、ドーパミンが強制的に放出される。
ドーパミンとは「脳内麻薬」「快楽ホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質。勉強やスポーツなどの「動機付け」の効果があるが、過剰に分泌されると快感をもたらす。これが、覚醒剤による精神的な依存を生み出す。
実はドーパミンを分泌するメカニズムそのものは、たばこや酒といった嗜好品と同じだ。決定的な違いは依存性の強さにある。一度覚醒剤を体内に取り込むと、「快感の記憶」が脳に刻み込まれ、影響は死ぬまで消えないといわれる。
とりわけ見逃すことができないのが、覚醒剤の使用頻度と快感の関係だ。
「一度使えば破滅」
マウスを使い、覚醒剤を毎日投与するグループと、7日に1回投与するグループとを比較観察した実験結果がある。投与後のマウスの運動量を調べると、7日に1回のグループがより活発に動き回っていた。つまり、7日に1回の使用者の方が毎日使う人よりも快感の度合いが高いといえる。