【地球を掴め国土を守れ】技研製作所の51年(13)「そんな機械はどこにもない」 (2/2ページ)

ハイブロハンマー機は振動・騒音が激しく、現場周辺では苦情が殺到した
ハイブロハンマー機は振動・騒音が激しく、現場周辺では苦情が殺到した【拡大】

 危機感を抱いた高知技研コンサルタント社長、北村精男(あきお)は、振動や騒音を出さない杭打ち機を探して国内外を飛び回った。

 しかし、時間と金を費やした末の結論は、「そんな機械は世の中のどこにも存在しない」だった。

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 北村はもともと、子供の頃から機械好きだった。さらに、会社創業(昭和42年)前から地元の建設会社で、さまざまな建設機械に接して工夫改善し、構造や原理について実地に学習していた。

 また、何ら工夫をしようとしない建設機械メーカーや現場任せの元請け会社に対する反発もあった。

 あきらめきれない北村は、発想を転換した。

 「無振動、無騒音の杭打ち機を、自分で作ろう」

=敬称略

 首都直下、南海トラフの地震や多発する水害の危機が迫る中、独創的な工法が注目を集める「技研製作所」は創業50年を迎えた昨年、東証1部上場を果たした。この連載では、北村精男氏が一代で興した同社が、世界企業として発展してきた半世紀を追う。