
サイレントパイラー1号機。後継機よりかなり大型だ【拡大】
のちに別の場所で、杭を打ってみたところ、抵抗の大きい地盤だったため、打てば打つほど、機械は傾いていったのだから。
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工事現場の地盤の質は千差万別で、実際にやってみなければ分からない。しかし、地盤との格闘を避けていたのでは、サイレントパイラーを使用する工法は成り立たない。
その後の機械の開発・改良では、地盤との絶えざる格闘が、現場での経験と実証実験による分析を通じて次々とサイレントパイラーの設計に具現化されていき、他の追随を許さない強みとなっていく。
「地下の可視化こそわが社の使命」。北村の言葉はそのことを象徴し、のちに技研製作所が工場をもたない開発専業の道を選び、インプラント工法など新工法を次々生み出していく根本ともなっていくのである。
=敬称略
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首都直下、南海トラフの地震や多発する水害の危機が迫る中、独創的な工法が注目を集める「技研製作所」は創業50年を迎えた昨年、東証1部上場を果たした。この連載では、北村精男が一代で興した同社が、世界企業として発展してきた半世紀を追う。