当時から過労死問題に携わってきた松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「労働問題としてどれだけ普遍性を持つのか、最初は見当もつかなかった」と振り返る。
それが蓋を開ければ、ひっきりなしに電話が鳴り、労災認定にまつわる相談だけで16件が集まったという。ほどなく、過労死110番は全国に広がり、25年間で受けた相談は1万件を超えた。
松丸弁護士によれば、当初は働き盛りの中年男性が過労死し、妻たちが電話をかけてくるケースが大半だったが、近年は精神的に追い詰められた若い世代の過労自殺が増え、両親からの相談が多いのだという。
遺族が活動、国連も「懸念」
こうした事態を食い止め、過労死・過労自殺を防ごうと、日本では遺族が先頭に立って活動している。
平成8年に夫を過労自殺で亡くした「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑(えみ)子さん(64)=京都市伏見区=らは今年4月、スイスの国連ジュネーブ事務局を訪問した。日本も批准している「社会権規約」に反し、日本政府が過労死問題を放置していると訴えるためだ。