乳酸菌飲料を飲む要介護の女性を診察する菊谷院長=東京都三鷹市【拡大】
この日は、東京都三鷹市に住む要介護4の女性(93)宅を訪れた。家族は食事量の激減を訴えた。「すぐに『要らない』ってしぐさをして…。昨日の朝はペーストがゆと卵豆腐、昼はデイサービスで半量。夜はおじやを3分の2。食欲が落ちたら、いつもうとうとするようになって…」
菊谷院長は女性が乳酸菌飲料を飲む音を聴診器で聞き、「ああ、でも、飲めてますね。むせてもいないし」。そのうえで患者の様子を見ながら、「日々のことなので、まずは水分を取ることが大事です」と指摘。女性が取れそうな介護食や栄養剤、その入手場所もアドバイスした。
訪問先は個人宅だけではない。高齢者施設や医療機関では、栄養士や医療職、介護職らに食べ物の形状、食べさせ方、リハビリ方法もアドバイスする。クリニックが在宅患者に口腔リハビリを行う意義について、菊谷院長は「患者さんが病院や施設などに移っても、僕らが訪問することで継続的に口腔リハビリを続けられるし、施設や病院スタッフと連携してもいい。地域包括ケアの実現にもなる」。実際に胃ろうが取れたり、施設との連携で肺炎による入院が激減するケースもあるという。