生活保護不正受給「返還わずか3割」の現実…自治体「やむを得ず」強制徴収 (1/5ページ)

2014.1.27 10:19

生活保護費が現金支給される大阪市西成区役所。制度への関心の高まりを反映し、支給日には多くの報道陣が取材に訪れた。生活保護をめぐる不正受給はその返還に妙案がなく、「不正受給にペナルティーなし」とも揶揄されている

生活保護費が現金支給される大阪市西成区役所。制度への関心の高まりを反映し、支給日には多くの報道陣が取材に訪れた。生活保護をめぐる不正受給はその返還に妙案がなく、「不正受給にペナルティーなし」とも揶揄されている【拡大】

  • 生活保護費の不正受給分の費用返還の仕組み。正規手続きでは回収率が3割にも満たないといい、下段の大阪府八尾市のように「天引き徴収」という“禁じ手”を使うケースが発覚した

 生活保護を不正に受給した人に不正分を返還させる手続きをめぐり、大阪府内の複数の自治体が、月々の保護費から返還金をあらかじめ差し引く「天引き徴収」を行っていたことが明らかになった。現行制度ではこうした“強制徴収”は認められておらず、監督する府が是正指導に乗り出す事態に。中には受給者から預かった印鑑を職員が勝手に押印していたケースもあった。自治体によるこうした手続き違反は論外だが、背景には制度に対する厳しい世論と、不正受給された保護費の回収の難しさが横たわっている。

 自治体「やむを得ず」

 天引きが明らかになったのは大阪府内の八尾、吹田、交野、寝屋川の4市。

 生活保護法は不正受給が明らかになった場合、自治体が不正分の費用を徴収できると規定。返還金は市の口座に入金してもらうか、窓口に現金を直接持参してもらう方法で回収する。

 そもそも、不正に受け取った税金なのだから「天引きは当然だ」と思われるかもしれない。

年々増加する不正受給に対応するため、「苦肉の策」として天引きを強行

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