効率だけを追い求めない、スローな織物。けれども博行さんらは常に「今」を意識する。色やデザイン、風合いなどに新しさを求め、試行錯誤の繰り返し。雑誌の切り抜きや色見本を貼り、染料の比率を記した博行さんの「染色ノート」は44冊目を数える。ムカデマフラーも約10年前、東京で流行のファッションを見て回るうちに思いついたデザインだ。そんな中村工房の姿勢にほれこみ、世界的デザイナー、三宅一生さん(75)も約40年前から同工房と仕事をしてきた。
博行さんはユーモアまじりに言う。「(和正さんには)失敗してもいいから好きにやれって言ってる。どうせモノを作っても売れねえ時代なんだから」。アットホームな工房が作るホームスパンはふんわり軽く、温かい。「糸がリラックスしているんですよ」(黒沢綾子)